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w'ANDのつれづれノート

w'AND illustration代表の佐藤祐輔が考える絵のこと、仕事のこと、社会のこと・・・そんなことを日々つづっていきます。

顧客におびえる日本人〜お客様は神様じゃない〜

w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。

 

サービス残業、セクハラ、痴漢えん罪、いじめ問題・・・
これらには共通点があります。
「傲慢になった顧客とそれにおびえるサービス提供者」です。
それが日本の産業構造をゆがめているように感じます。

 

三波春夫からの伝言

Daidai Kagura(太々神楽)-04 [formername: CRW_0106]Daidai Kagura(太々神楽)-04 [formername: CRW_0106] / m_nietzsche

「お客様は神様です」という言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。
演歌歌手の三波春夫が使ったフレーズです。
実際にこの言葉を流行させたのはレッツゴー三匹というコメディアン。
三波のフレーズを誇張したネタでヒットしました。

「顧客は神様なのだからどんな無理難題やクレームにも対応すべきである」
三波のフレーズはこんなふうに解釈されることが多いようです。
しばらく前の新聞紙上のアンケートの中に「仕事でストレスを感じたことは?」という問いがありました。それに対して「顧客がわがままを言ったとき。でも『お客様は神様』だからぐっと飲み込んだ」という回答がありました。

三波春夫の真意はこれとは異なります。
三波は芸を神事のようなものと考えていたようです。
完璧な芸を披露するには、雑念を払い心をまっさらにしなくてはなりません。それは神前で祈るときのこころもちと同じです。だから、目の前の観衆を神様と見立てて芸を披露するのです。
三波春夫のオフィシャルサイトでは、「お客様は神様です」の真意はこのようなものであったとしています。三波自身、「顧客の要求をなんでもかんでも飲み込むこと」と解釈されるのに苦言を呈していたといいます。

もちろん、サービスを提供する側のこころもちとして、最高のサービスを提供しようとするのは大事です。しかし、この「お客様は神様です」に関する誤解が顧客を傲慢にし、サービス提供者を苦しめているのも事実です。

 

安さとリスクはトレードオフLCCの安さの秘密

飛行機飛行機 / Kentaro Ohno

低価格で飛行機に乗れるLCC(Low Cost Carrier)が話題になっています。
話題になった理由は低価格だけではありませんでした。

ジェットスターは12年7月3日の就航初日からトラブルが相次いだ。初日の札幌ー成田行きの最終便が欠航し、搭乗予定の155人のためにホテルを用意した。前便で乗客の搭乗に手間取ったことが原因という。7月12日も同じ最終便が欠航。7月28日には機体に鳥がぶつかるハードスライクの影響で、成田ー沖縄(那覇便)が欠航した。
(参考:「LCCはキケン!? 欠航、遅延、規定違反で国交省が厳重注意!」Business Journal 2013年1月4日)

残念ながら、トラブルの多さでもLCCは話題になってしまったのです。

LCCが運賃を低く抑えられるのには理由があります。
機体の統一、無料サービスの廃止など、コストをぎりぎりまで抑える工夫が満載です。
その工夫のひとつに「駐機時間の短縮」があります。

航空機は、ある空港まで乗客を運ぶと、復路では乗客を乗せて帰ってくるのが普通だ。しかし帰りの便が出発するまでのあいだ、空港に長時間留まれば、その分乗客を運べないことになる。1機の飛行機の運用効率を高めるほど、航空会社にとっては利益が高まることになる。
駐機時間を抑えるためには、到着後に短時間で復路の離陸すればいいのだ。
LCCの運航スケジュールを見ると、到着から次の離陸までの時間がレガシー・キャリアよりも短く設定されているのがわかる。
遅延が生じなければ問題はないが、たとえば早朝便が遅れると、それ以降の便すべてがドミノ式に遅れる、といったケースもありうる。LCCのフライト時間に遅延が生じやすいのは、このためだ。
(参考:「LCCはどうして安いのか?」AirlineProfile)

コストを抑えるための工夫が、遅延や欠航の割合を増加させる原因となっているのです。

「ならば駐機時間を長くすればいい」と考える方もいらっしゃるでしょう。
そうなると空港での待機時間が長くなるため、運賃は上がります。

「オペレーションを工夫しろ」と考える方もいらっしゃるでしょう。
それはその通りなのですが、コスト削減のためにぎりぎりまで人員を落とした状態でそこまで求めるのは酷というものです。

LCCを利用する場合、運賃の安さが欠航や遅延などのトラブルと引き換えである、ということを忘れがちです。そのトレードオフの関係を理解せずに「遅延が多い」とLCCにクレームをつけるのは筋違いというものです。

それでもクレームが後を絶たないそうですけれども。

 

お客様はモンスター!?

Graffiti Monster Eating HumanGraffiti Monster Eating Human / epSos.de

いじめや体罰による中高生自殺のニュースがとりざたされています。
そのなかでこんな報道がありました。

同様の指摘はほかにもあって、先生がちょっと怒っただけでも「ターイバツ、ターイバツ」と連呼するクラスがあるという話も。戸惑いながら生活指導にあたっている先生たちの様子が浮かぶ。
(参考:「体罰を考える(18)」msn west 2013年2月18日)

なんでもかんでも「体罰だ」といわれて問題とされるようになったら、先生としてはどうするでしょうか。責任問題に発展するくらいならば、それを避けるような行動をとるでしょう。
毅然とした態度をとることはもちろん必要です。
あわせてモンスター化した親や子どもからの訴訟リスクがあることを考えなければなりません。このリスクに対処する必要があるのですが、そこで学校や先生は萎縮し、親や子どもはますます増長していきます。

モンスターペアレンツ、モンスタークレーマー、モンスターカスタマー・・・
最近では「暴走老人」なる言葉も生まれ、日本人がどんどんモンスター化しているような印象を受けます。三波春夫の言葉を借りれば、「お客様はモンスターです」の様相を呈してきているようです。

顧客はお金を払ってくれる大事な存在です。
けれどもお金はあくまでサービスの対価です。
対価以上のものを求められたらそれを拒否する毅然とした態度をとるべきです。

 

サービスやお金に対する根本的な意識の変革が必要だと、私は考えます。

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