w'ANDのつれづれノート

w'AND illustration代表の佐藤祐輔が考える絵のこと、仕事のこと、社会のこと・・・そんなことを日々つづっていきます。

夢・野心・挑戦

w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。

 

「女にも野心がある。ただ、女はそれを夢と呼ぶのです。」

中央線に乗っていると、東京経済大学のこんな広告コピーが目に入ってきます。
このコピーに対してネット上に「単なる言葉のすりかえ」という批判が散見されました。
私自身もなんとなく違和感を覚えます。
もちろん、これは35歳男性の感覚であって、広告のターゲットである受験を控えた17歳、18歳の女性にどう響くのかは分かりません。

 

先日、こんなことがありました。
とある経営者向けのパーティーに参加したときのことです。
ある会社の社長さんと名刺交換させていただき、私の事業構想をお話ししました。
将来的にやりたいプロジェクト、そのプロジェクトの価値、社会に与えるであろうインパクト。
一通り話し終えたところでその社長さんがぼそっとひとこと。

「きみ、ずいぶん野心的だねぇ」

ここでどきっとしました。
「野心」という言葉に対してあまりよくないイメージをもっていたためでしょう。
「野心」というと「人を蹴落としてまで自分の手に入れたいものを手に入れる、欲の皮の突っ張ったような人物」というイメージです。
このイメージが、東京経済大学の広告コピーに対する違和感の源にもなったのでしょう。

 

大辞林の「野心」の項には次のようにあります。

1.現状よりもさらに高い権力・名誉・財力などを得ようとする心。ひそかにいだいている分をこえた望み。
2.(野の獣が人になれないように)なれ服さないで,害そうとする心。謀反の心。 「此の謀いかなる-の者が京都へ告げたりけん/太平記 17」


大辞泉では次のようにありました。

1.ひそかに抱く、大きな望み。また、身分不相応のよくない望み。野望。「政治家になりたいという―に燃える」「政権奪取の―をもつ」
2.新しいことに取り組もうとする気持ち。「―作」
3.野生の動物が人に馴れずに歯向かうように、人に馴れ服さず害を及ぼそうとする心。「但し―改め難くして、情(こころ)に猶予を懐けり」〈三教指帰・下〉

 

一般的にイメージされている「野心」は大辞林の1、大辞泉の1のイメージでしょう。
大辞林の2、大辞泉の3は私のイメージだと「野性」の方がよりぴったりきます。

私がw'ANDの事業でやろうとしていることは大辞泉の2、「新しいことに取り組む」ということです。
それを私自身の言葉でいうと「チャレンジ」「挑戦」であり、もともともっていた「野心」のイメージとはことなります。
それは東京経済大学の広告のような「夢」でもありません。
私は自分の事業を徹底的に現実的に考えているからです。
※ここで今度は「夢」の定義やイメージの違いが関わってくるのですが、その話はここではやめておきましょう。

先日の社長さんはどのような意味を込めて「野心」といったのでしょうか。