ビジネスで成功する「ネガティブ思考」が流行!? でもその前に・・・
w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。
「ビジネスで成功したい!」と思われる方は多いでしょう。
そんな方のために気になる記事があったのでご紹介します。
ネガティブ思考が流行する!?
最近「ネガティブに考えること」のプラスの効果が注目されてきているようです。
ここで2件の記事をご紹介します。
ネガティブこそが成功への近道!「ポジティブ病」を抜け出し成果を出そう
(らふらく ^^ 2013年2月14日)
普段、「悪」とされるネガティブという言葉。
ですが、意外にもネガティブにはプラスの力が含まれているようです。
「脱・ポジティブ」で結果を出す! ネガティブシンキングのススメ
(lifehacker 2013年1月23日)
ポジティブに思われるためにしている行動をやめることは、まわりからの評価ばかりを気にする自分から抜け出し、ネガティブな自分を受け入れる第一歩になります。その状態で結果を出すと、上記の通り「ネガティブな自分でもできた」という成功体験となり、自己肯定感が生まれる良いサイクルになるのです。
ひところ「ポジティブ思考」(=プラス思考)がもてはやされた時期がありました。
「ネガティブ思考」(=マイナス思考)の盛り上がりはその反動のようにも見えます。
Googleトレンドで検索傾向を見ると、2004年以降、「プラス思考」(青のライン)の検索は減少傾向にあります。対して「マイナス思考」(赤のライン)は2007年以降、上昇傾向にあります。
(Googleトレンドで「プラス思考」と「マイナス思考」の検索傾向を比較)
あなたのポジティブ思考、歪んでませんか?
そもそも「ポジティブ思考」とはなんでしょうか?
プラス思考(プラスしこう)とは、物事を肯定的な方向に傾斜した考え方を行う傾向。ポジティブシンキング(Positive Thinking)、積極思考。しばしば楽天主義と混同されるが別物。
(参考:wikipedia 「プラス思考」)
つまり、いま現在の状況を否定的にみないで肯定的にみることです。そうすることで「現状は悪い」ということにとらわれず、状況を解決するために積極的に行動していけるようになります。
ところが、いつしかこれが歪んで解釈されるようになりました。
「とにかくものごとを肯定的にとらえれば良い」と思われてしまった節があるようなのです。
知り合いのAさんは普段からポジティブ思考を心がけています。
ある日、大事な財布を出張中になくしてしまったそうです。
そのときにこんなメールが私のもとに届きました。
今日、大事な財布を中身ごと落としてしまいました。。。
カードも現金も、もうすぐいっぱいになるポイントカードも。。。
でも、これで新しい財布に買い替えられます♪
ラッキー♪
大事な財布を落とした結果、たしかに新しい財布に買い替える機会が生まれました。
財布を落としたことの肯定的な側面です。
では、現金やクレジットカードをなくしてしまった、という否定的な側面はどうなるのでしょうか。現金やカードをなくしてしまったことに対して、現実的に対処しなければならないはずが、この考え方では現実的な対処を無視してしまっているようにみえるのです。
たしかに財布をなくしてしまったことに対する落ち込みは回避できるでしょう。
けれど、現金やカードをなくしてしまったことは変えようのない事実なのです。
※私は即座に「ラッキーも良いけどすぐに警察に届け出してね」と返信しました。
ここで「ネガティブ思考」の出番です。
現金やカードが入った財布をなくしてしまったことを否定的にとらえてみましょう。
- クレジットカードが不正利用されるかもしれない
- もしかしたらカードでとんでもない額の買い物をされてしまうかも
- 何百万も請求がきたらどうしよう!そんなに払えない!
- 借金まみれになったら首をくくらなきゃいけないかも・・・
これは財布を落としたことを想定した場合の私自身の「ネガティブ思考」です。
※我ながらネガティブすぎるように思います。
しかし、ご紹介した2件の記事が言う「ネガティブ思考」はこのような思考法をいっているわけではありません。
- カードが不正利用されるかもしれない
- まずは警察に届けよう
- 落とし物扱いされるまえに不正利用されるかもしれない
- すぐにカード会社に連絡してカードを停めてもらおう
このように、次に起こることを想定し、その対応策を考える考え方です。
これは立派な「リスク回避」の考え方です。
「ネガティブ思考」と一見すると「物事を否定的にとらえれば良いんだ!」と思ってしまいがちですが、そうではありません。正確にいうと、「状況の否定的な側面を見据え、それにきちんと対処していくこと」がネガティブ思考の本質です。
この話をAさんにメールで伝えたところ、こんな返信がきました。
わかった!あしたからなんでも否定的にとらえて落ち込むことにする!ありがとう!
Aさんはすっかりポジティブ思考にはまっているようです。
たぶん、Aさんには何をいっても無駄なのでしょう。
あなたの人生はあなたのもの
結局の所、ポジティブに考えるか、ネガティブに考えるか、はその人の資質によります。
Aさんの例は極端ですが、彼はもともとものごとをポジティブにとらえる傾向がありました。
彼にネガティブ思考を教えても、普段の考え方と違うために辛くなっていくことでしょう。
ポジティブに思おうが、ネガティブに思おうが、そのセルフイメージに固執し、そのままでいるということは今の自分を否定してしまっているのです。ポジティブに思おうがネガティブに思おうがどちらでもいいのです。ただ今感じている事に素直になれず、無理やり思いこむ事にしんどさがあります。自分をポジティブなりネガティブに固定する事は今の自分の本当の気持ちや感覚に嘘をついてしまっています。それはセルフイメージを固定化しているということですね。だから色んな状況にそぐわずしんどくなります。そして窮屈です。ポジティブにいれば物事がすべてうまくいく考えも間違いです。たとえポジティブにいて、失敗から何も学ばなければ人に迷惑をかけ続けるでしょう。そうすればいくらポジティブにいようが周りから孤立します。だからといってポジティブが間違っていると言っているわけではありません。大切なのは自分の状況によって何が正しいのかは変わるということです。そして今まではあたりまえのように行動するのではなく、自分にとって何がよいのか選択していただきたいのです。
(参考:「ポジティブは自己否定している」ぼちぼちでええやん。2011年7月11日)
「成功している人にはネガティブに考える人が多い。だから自分もネガティブに考えれば成功できるに違いない!」
これは非常に短絡な考え方です。原因と結果が逆になっているのです。
実際には「成功して目立った人がたまたまネガティブ思考の持ち主だった」のです。その思考法の背景にはその人の生い立ちや経験、資質があります。だから、生い立ちも資質も違う人が思考法だけまねしても意味がないのです。
もし、あなたがスティーブ・ジョブズのようになりたいと願い、彼のように振る舞い、考えたとしましょう。
それはあなた自身の人生だといえるでしょうか?