w'ANDのつれづれノート

w'AND illustration代表の佐藤祐輔が考える絵のこと、仕事のこと、社会のこと・・・そんなことを日々つづっていきます。

「人に嫌われること」はもっと自由になるための戦略である

w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。

「誰かに嫌われても平気になること」
w'ANDの仕事を進めていくにあたって決めたことです。
仕事だけでなく、普段の生活のなかでも重要なことだと思っています。
その理由についてお話ししたいと思います。

 

「嫌われる」という戦略

 

Things I hateThings I hate / Gatanass

 

仕事をする上でターゲットを絞り込むことが重要です。
自分の提供できるサービスに限りがある以上、すべての人を対象にすることができないからです。コーヒーが好きな人とコーヒーが嫌いな人のどちらにも入ってもらえるコーヒーショップは存在しません。すべての人に好かれようと思ったら、だれにも好かれないコーヒーショップになってしまうでしょう。
ターゲットを絞り込むということは「ある特定の人たちには好かれるけれども、同時にある特定の人たちには嫌われる」ということです。コーヒー好きな人に好かれようと思ったらコーヒー嫌いな人たちに嫌われるでしょう。逆にコーヒー嫌いな人たちに好かれようと思ったらコーヒー好きな人たちからは嫌われるでしょう。

“「成功法則」があなたの役には立たない本当の理由”でご紹介した「ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件」では、スターバックスを例にとっていました。

今では珍しくないことかもしれませんが、スターバックスの店内は当初から禁煙です。コーヒーの香りの中でゆっくりとリラックスするという「第三の場所」というコンセプトからすれば、喫煙者はストーリーを邪魔する邪魔者にほかなりません。(中略)完全禁煙にして、喫煙者から積極的に嫌われて、初めて「第三の場所」が実現できる、というわけです。
(「ストーリーとしての競争戦略」p276より)

絵も同じです。
「誰もが好きになる絵」というものは存在しません。「たくさんの人に好かれる絵」はあるでしょうけれど、その場合でも誰かしら、それを嫌いになる人は存在します。「そもそも絵が嫌い」という人だって存在するはずです。

誰に好きになってもらい、誰に嫌ってもらうかを選びとっていくことが必要になってきます。
それを実行するために「人に嫌われても平気になること」が必要になるのです。

 

「嫌われる不安」は誰もがもっている

 

Abandoned cats - calendarAbandoned cats - calendar / Stefan Tell

 

「人に嫌われること」が好きな人はきっと少ないと思います。
できればたくさんの人に好かれたい、と思うでしょう。「嫌われる」ということは自分の存在を否定されてしまうのと同じだからです。私自身、人に嫌われることには強い抵抗があります。

こどもの頃、両親の教育方針で私は必死に優等生になろうとしていました。
「残せるほどの財産はないからせめて教育だけでも」と教育に力を入れていたのです。門限は午後4時と早く、外で遊んでいても早々に切り上げて帰らなくてはなりませんでした。テストの点が悪ければ怒られ、休みの日でも両親に勉強を仕込まれました。「あんなに勉強ばかりさせられてかわいそうだった」と、大人になってから親戚に言われたほどです。
おかげで旧帝大に浪人することなく合格できました。社会人になってからも、こどもの頃に教わった「勉強のしかた」がずっと役にたっています。その点では両親に感謝をしています。

ただ、悪い影響も残りました。
優等生であろうとするあまり、「相手の期待に沿った行動や発言をしようとする」ことが癖になったのです。自分の感情を抑えてでも、相手に気に入られようとするのです。この癖に気づいたのはつい最近のことでした。
たとえば読んだ本の感想をきかれたとき、相手と違う感想をもつと不安になってしまうことがあります。違う感想をもつことで相手が怒るのではないか、嫌われてしまうのではないか、という不安です。
その不安にとりつかれ、自分が思う通りのことがうまくできていなかったように思うのです。

「人に嫌われることが平気になる」ためには「嫌われる不安」とうまくつきあっていくことが大事です。
自分の思考や感情を無理に変えようとするとすると、“無理矢理ポジティブ思考”のように自分をゆがめることになってしまうからです。

「嫌われても平気」と思えたら、きっともっと自由に行動できるようになるでしょう。
嫌われてもかまわないから自分がのぞむことをやりたい、と思えるようになるからです。人の期待に沿う必要がなくなり、相手の目を気にしなくて済むようになるからです。
もちろん、日々くらしていくなかで人目をまったく気にしない、というのは問題があるかもしれません。けれども、必要以上に気にすることもないはずです。本の感想が人と違うからといって、そこまで不安になる必要などなかったのです。

 

※不安とつきあっていくための様々な手法についてはこちらをご参考になさってください。

Reflinyのカウンセラーである岩井さんが自分のこころと向き合う方法をブログで紹介してくださっています。