w'ANDのつれづれノート

w'AND illustration代表の佐藤祐輔が考える絵のこと、仕事のこと、社会のこと・・・そんなことを日々つづっていきます。

豊かな色彩に満ちた世界

w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。

 

私の絵の中から一枚、ご紹介します。

 

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"Meet You"というタイトルの絵です。
セラピールームすずき様で昨年、レンタルしていただきました。
その一部を拡大したものが下の画像です。

 

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ちいさくちょこんといる“ひつゅじ”を拡大したものです。
“ひつゅじ”の左下がちょうど影の部分にあたりますが、影を複数の色で表現しているのがお分かりでしょうか。
ピンク、紫、青緑、水色を重ねて、このような色を出しています。

 

“影“というと、多くの人が黒を思い浮かべるでしょう。
本当にそうでしょうか?

 

高校生の頃、美術の先生がこんなことを言っていました。

「よく観察してみなさい。影が黒だと思い込んでいるなら、その思い込みをなくして、自分の目で見たものを信じなさい。それはいったいどんな色にみえるか?思った色ではなく、見えた色を描きなさい」

最初、何を言っているのかよく分かりませんでした。
影は黒に決まってるじゃないか、と。

 

ところがあるとき、影が黒以外の色で見えるようになりました。
具体的にどう、と説明できないのがもどかしいのですが、たしかにそこには、様々な色が混ざり合っていたのです。

 

ルノワールという画家をご存知でしょうか。
上野の国立西洋美術館にも作品が何点か収蔵されています。
そのなかに“帽子の女”という作品があります。
白い服に帽子をかぶった女性が椅子に座っている絵です。この服の色合いをみると、たしかに白ではあるのですが、青、紫、黄色、茶色といった様々な色がこの服の陰影を表現するのに使われています。白い服だからといって、必ずしも白だけでできているわけではないのです。

 

こんなふうに見えるようになると、世界を見る目が一変します。
世界はなんと豊かな色彩に満ちていることか、と。
葉っぱは緑、土は茶色、道路はグレー、顔は肌色、と思い込んでいるけれども、実はそうではなかった。
その思い込みが、世界の豊かさを見えなくしていたのだと、気づいたのです。

 

思い込みをはずして、ありのまま、目にうつるままの世界を眺めてみましょう。
どんな世界が、目にうつるでしょうか。