あまりきれいではない共感覚
w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。
みなさんは“共感覚”というものをご存知でしょうか?
ある音を聞くと色が見えたり、数字が色に見えたり、味が触った感覚として現れたり。
このようにある感覚が別の感覚と結びつく現象を“共感覚”と呼ぶのだそうです。
近頃は下火になっているようにも思いますが、昨年あたり、本やテレビで取り上げられたことで多くの人の関心をひいたようです。
先日、肩がひどくこったのでパートナーにマッサージをしてもらいました。
特に左肩がしびれたような感じになっていて、触ってもほとんど感覚がないほどです。首筋から肩、肩甲骨まわり、背中、と上から順にほぐしていってもらいました。
ちょうど肩甲骨まわりにさしかかった頃です。
なにやら目の前にピンク色のちかちかする光が見えたと思ったら、メリーゴーランドのイメージが見えたのです。暗い、おそらく夜を背景にしているであろう場所で、ピンクと黄色と白の光が右から左に流れていくのです。そのイメージをあえていうとメリーゴーランドなのですが、実際にはいくつかの色の光が動いていくイメージでした。
その後、マッサージの部位が変わるたびに、異なる光景が見えるようになりました。
- 青白い部屋(動きのない黒と青)
- ギャングイルカ(激しく上下に動く青と白と黒)
- 西洋甲冑(グレーとオレンジの背景に金属光沢のような白い点)
といった感じです。明確にそのイメージがあるわけではなく、あえて言葉にするとこのような感じになります。
見えたものを逐一報告すると、パートナーは大笑いして喜んでくれました。
正直言って、これを共感覚と呼んで良いものかどうかわかりません。
背中を触られると奇妙なイメージが見える、というのは「音が色で見える」という一般的な共感覚のイメージのようにきれいで繊細なものではありません。私自身、単に「変な体質」としか捉えていませんでした。
Wikipediaの定義によると共感覚とは
女性の高い声を「黄色い声」などと言うように、人類、あるいは特定の環境・文化において複数の種類の感覚を結びつける比喩的習慣が広く存在するが、共感覚はそのようなものと直接は関係しておらず、共感覚を持たない人には感じられない上述の数字に色を見るなどの感覚を、主観的な知覚現象 (クオリア) として生々しく感じている。 共感覚は五感のような基本的な感覚の種別に関してだけではなく、感情や単語や数などに関して起こることもある。 共感覚者の間での複合した知覚の関係に相関は認められていない。 例えば、ある人がある文字を青く感じたとしても、他の共感覚者が同様に感じる傾向があるとは限らない。
(Wikipedia「共感覚」より)
となっています。数字に色を感じる人ならば1は黒、2は赤、といったように結びつきがはっきりしているでしょう。ところが自分の場合、同じ場所を触ってもらっても同じイメージが見えるとは限らないため、定義からはずれているようにも思うのです。
※部位ではなく、触ったときの感覚(痛い、くすぐったい、気持ちいい)と結びついているとしたら、部位とは関係がなくても定義には合致しそうですが。
共感覚について語られるとき、サヴァン症候群も合わせて語られることが多いようです。共感覚を持ち合わせる人にサヴァン症候群の方が比較的多くみられるためだそうです。
サヴァン症候群とは
(Wikipedia「サヴァン症候群」より)
- ランダムな年月日の曜日を言える(カレンダー計算)。ただし通常の計算は、1桁の掛け算でも出来ない場合がある。
- 航空写真を少し見ただけで、細部にわたるまで描き起こすことができる(映像記憶)。
- 書籍や電話帳、円周率、周期律表などを暗唱できる。内容の理解を伴わないまま暗唱できる例もある。
- 並外れた暗算をすることができる。
というように、「知的障害・自閉症障害があり、かつ特定の分野に驚異的な能力を有する」状態を指します。特定の分野に関しては非常に高い能力を示すため、しばしば天才の代名詞のようにも扱われます。
サヴァン症候群の方がしばしば共感覚をもっていると思われることから、共感覚が優れた能力をもっていることの証のようにとられることもあるようです。
Googleで検索すると「あなたも共感覚がもてる!」といった文句のページが散見しました。
「共感覚がもてれば自分も特別な存在になれる!」という思いがあるのでしょう。
自己研鑽も良いものですが、それがたとえば「周囲に一目おかれたい」というような目的であるのならおすすめはしません。
マッサージしてもらった後、肩はとても楽になりました。
と同時に、ちかちかといろんなものが見えたため、目の辺りはかえって疲れてしまいました。
共感覚をもっている人の中には「複数の感覚が同時にやってくるので疲れて仕方がない」と訴える方も少なくないそうです。